原題 | Cancer-specific tissue-resident memory T-cells express ZNF683 in colorectal cancer. |
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掲載 | British journal of cancer |
記述言語 | 英語 |
著者 | Masatoshi Kitakaze, Mamoru Uemura, Tomoaki Hara, Ryota Chijimatsu, Daisuke Motooka, Toshiro Hirai, Masamitsu Konno, Daisuke Okuzaki, Yuki Sekido, Tsuyoshi Hata, Takayuki Ogino, Hidekazu Takahashi, Norikatsu Miyoshi, Ken Ofusa, Tsunekazu Mizushima, Hidetoshi Eguchi, Yuichiro Doki, Hideshi Ishii |
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PubMed | |
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背景
組織常在型メモリーT(Trm)細胞は、ウイルス感染や自己免疫疾患の病態だけでなく、多くのがんにおいても細胞傷害性と関連している。腫瘍浸潤性CD103⁺ Trm細胞は主にCD8 T細胞で構成されており、細胞傷害性活性化分子や免疫チェックポイント分子(疲弊マーカー)を発現している。本研究では、大腸がん(CRC)におけるTrm細胞の役割を調査し、がん特異的Trm細胞の特徴を明らかにすることを目的とした。
方法
切除されたCRC組織に対して、抗CD8および抗CD103抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、腫瘍浸潤性Trm細胞を同定した。生存予後の評価にはKaplan-Meier法を用いた。さらに、CRCに対する免疫細胞を標的として、シングルセルRNAシーケンス解析を実施し、CRCにおけるがん特異的Trm細胞の特徴を解析した。
結果
CD103⁺/CD8⁺の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、大腸がん患者の全生存率(OS)および無再発生存率(RFS)において良好な予後因子であり、予測因子であることが示された。17,257個のCRC浸潤免疫細胞のシングルセルRNAシーケンス解析の結果、がんTrm細胞では非がんTrm細胞よりも亜鉛フィンガータンパク質683(ZNF683)の発現が高く、またがん内でのTrm細胞の高浸潤群では低浸潤群よりもZNF683の発現が増加していた。さらに、ZNF683⁺ Trm細胞ではT細胞受容体(TCR)およびインターフェロン-γ(IFN-γ)シグナル関連遺伝子の発現が上昇していた。
結論
CD103⁺/CD8⁺ TILの数は、CRCにおける予後予測因子である。さらに、ZNF683の発現をがん特異的Trm細胞の候補マーカーとして同定した。IFN-γおよびTCRシグナル伝達とZNF683の発現は、腫瘍内Trm細胞の活性化に関与しており、がん免疫調節の有望な標的となる可能性がある。