RNA修飾研究が持つ可能性

1. RNA修飾への着目による情報量の増加

様々な形で細胞の重要な要素となって体を構成するタンパク質、その設計情報をもつRNAには「いま・どこで・何が」起きているのかあるいは起きようとしているのかを知るための重要な情報が多く乗せられています。またDNAが1つの細胞につき1対しか存在しないのに対し、DNAから次々と転写されるRNAはその100倍以上の量が生成から24時間以内の状態で存在しており、より見やすく、よりわかりやすく、より新しい情報を大量に得ることが可能になります。

2. RNA修飾のパターンを読む

前述の通りこれまでメチル化1種類しか確認されていないDNAに比べ、RNAは170種類以上の修飾パターンが既に確認されており、各々の修飾パターンがどの病気に罹患した際に発現するかの研究を現在、早期発見〜末期症状まで様々なステージにわたって重ねています。
疾患ごとに発現するRNA修飾が次々と明らかになっており、検体から陽性反応が認められたRNA修飾の複数のパターンの組み合わせやそれらの状況を見ることで、体内にどのような疾患が生じているのかを判定、進行度合いの推定が可能になります。

3. 疾病の「超」早期発見

疾病の大きな要因となるタンパク質の形成異常、そのタンパク質形成に大きく関わるRNAとその修飾パターンを読み解くことは、「これからどのような疾病が体内で生み出されようとしているのか」を知る大切な指標となります。
疾病の形成過程でその兆候を捉えることができれば、症状が表に出てくる(自覚症状の発生)を待たずに早い段階で病気を発見できることが可能になります。
例えば様々な部位での「がん」について見てみれば、従来の検査方法では早くてステージⅡ、概ねステージⅢ前後で発見されるものが、RNA修飾に着目した検査によりステージⅠのような早期の段階でも高い確率で発見することができるようになっており、現在はそれをさらにステージ0(上皮内癌の段階)やそれ以前の段階といった超早期発見が可能になるよう研究を重ねています。

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